簿記の資格は勉強するべき?将来AIに置き換えられるスキルは必要ない?
「いずれ人工知能がやるから必要ないでしょ?」
会計・経理の仕事といえば、四角四面のイメージ。
いかにも人工知能AIが導入されそうな職種です。
では、会計系の仕事の未来はどうでしょうか?
今から知識を身に付けてもムダでしょうか?
長らく現場にいた経験者として
会計系の知識の価値、将来性をお話します。
人工知能が経理の仕事を奪うのかの是非
10~20年後には国内の49%もの仕事が
人口知能やロボットに置き換えができるようになる・・
こんな予測が公表されています。2015年のことです。
(野村総研+オックスフォード大学の共同研究)
当時からかなり話題となり
「自分の仕事が将来なくなるかもしれない」
と感じた方は相当な数に及ぶでしょう。
実際そういう方向に報道されるケースが大半でした。
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通常の経理職スタッフのイメージが合致する職種には
税務申告や会計係、一般事務員などがありますが
置き換わることが見込まれる
「トップ100」にいずれも入っています。
※その前年の同大の教授のデータによる
トップ100位で確率94%とのことです。
衝撃をもって受け止めた方もいると思いますが
仕事の中身を知っている身からすると
そう衝撃でもありませんでした。
経理の仕事のリアル!ほとんどが定型業務だった
なぜなら・・
「仕事量の大半がすでにルーティン化されている」
という実態があるからです。
中小零細の会社でも
経理スタッフを置く規模なら
請求管理、入金管理、支払業務、はたまた
給与計算など関連業務に至るまで
基本的にソフトウエア化するか
外注化しているはずです。
※帳簿作成能力のない人はいます。
「お任せ!」で会計事務所に持ち込んでくるタイプです。
これらソフトから出力される資料を
人間が理解しやすいように
Excelなどの汎用ソフトを用いて
データをまとめる・・
これが今の経理の仕事です。
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手作業があるのは
領収書など証憑とよばれる
会計・税務の証拠資料をまとめたり
社内決済のためにフォーマットを
整えたりする仕事。
オンライン化が進んでいけば
縮小する分野ばかりです。
各ソフトウェアは
必ずしも連携されていないため
現時点ではヒトが補っているに過ぎません。
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決済業務はいまや銀行の窓口で行うものではなく
ネットバンクシステムへの
データ入力に置き換わっています。
日々の伝票処理だって
ソフトウェアでやるようになって久しい。
もはや手書きの帳簿は
実務上珍しいものになっています。
将来消滅する経理業務とは
レシートや伝票を見ながら
会計システムに入力する見慣れた光景。
すでに提供されているサービスのレベルで
写真をアプリで送信⇒入力に反映まで
完成しています。
レシートと勘定科目の関連性なども
膨大なデータ処理で蓄積されていますから
「このレシートはこの科目に決まり!」
「この商品の勘定科目はこれ!」
こういう紐づけが成立する日は近いと思います。
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となれば、レシートをスキャナーで読み込めば
会計システムへの入力まで
リンクすることは難しくないでしょう。
そもそも現金の流通量が減少し
カード決済やオンライン決済に
どんどん置き換わっているのですから
もう下地はできているのです。
作業量の大半を占めていた単純入力作業、
すなわち人力でカバーしていたパンチャーの仕事は
早晩不要になることでしょう。
データチェックの要員は一定数残るでしょうが
それすらも不要になるかもしれません。
それでも残る経理業務とは
最難関試験で知られる公認会計士や税理士は
法律で独占が認められた業務に加えて
相談業務を受注できるので
AIに置き換わる可能性は低いと思われます。
さまざまなリスクを考え、相手の希望に合わせながら
税法上も正当な処理を選ぶとしたら
やはり人を介さないと信頼しにくいでしょう。
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会社には決定権をもつ経営者がいます。
彼らには、そうした専門家の意見を伝え
わかるように解説する人材が必要です。
それが経理職の主な役割になると思うのです。
各システムからデータを読み取る力は
必須となります。
システムを操作できればよく
入力作業そのものは不要ですが。
データと経営者をつなぐ
新時代の『翻訳者』というところでしょうか。
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すでにあなたの会社にも
その役割を果たしている人はいませんか?
自分の力で数字にアクセスし
自分の言葉で数字を説明できる人のことです。
逆に言えばそうした人物以外は
ほとんど不要になるということですね。
結論:では会計系スキルを学ぶべきなのか
その『翻訳者』の能力を持つ人以外は
今でも判断の根拠にするデータを
作成する仕事ばかりしています。
定型作業ばかりなので
そのうちピンチを迎えるかもしれない。
でも『翻訳者』の力を獲得すれば
社内にライバルはほとんどいません。
・社内システムを使いこなす力
・数字を解説する能力
・外部専門家と渡り合える知識量
経営者自身も欲しがる才能です。
あなたはどちらを選びますか?
やるなら本気でということですね。