建設業経理士1級で経審パワーアップ!公共工事の受注力向上に貢献しよう
会計資格のうち、「建設業経理士」は
ある特定分野の方には大きな魅力を持つ資格です。
それは”仕事の受注”に影響するから。
もちろん建設業ですね。
通常、経理業務の担当者は
直接お金に関わる部分を別とすれば
営業関係とはかなり離れた領域を担当します。
しかし、この資格は受注力に関係します。
次の条件に該当するなら、おすすめの資格となります。
・建設業を営んでいる会社に所属している
・入札による公共工事の受注がある
・社内に有資格者がいない(又は不足中)
ぜひ挑戦してみて下さいね。
1級合格者の私がガイドさせていただきます。
建設業経理士とは?マニアックな試験の目的を知ろう
建設業で公共工事を担う会社に価値ある資格
ひとことでこの制度の趣旨を表現すると・・
「お金の面でもしっかりしていたら
公共工事の仕事取らせてあげるよ」
先に公共工事の流れを簡単に説明しますね。
・官公庁が工事内容を公表「こういう仕事を頼みたい」
・建設業者が見積りを入札「この金額ならやれます!」
・「適正額」を提示した業者が受注し、工事開始準備へ
この建設業経理士試験は
「国土交通省の登録経理試験」
という位置付けです。
合格者は登録されて
経営事項審査の加点対象となります。
工事の入札に影響する「経営事項審査」
この審査は、公共工事の
入札参加資格の選定に使われます。
どんな業者さんでも
参加できるわけじゃないのです。
欠陥工事されたら、たまったものじゃない。
公平を期すため工事実績や財務状況など
いろいろな指標を組み合わせて
点数化されます。
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この試験の合格者の人数が
なんと!加算要素になるのです。
この点数が高いほど
有利な条件で受注できるので
経営者であれば1点でも多く
高い点数が欲しいのです。
低ければ不利な条件になったり
入札に参加できないこともあります。
※工事に必要な点数のランク(格付)があるため
試験の目的:公共工事を行う事業者の信用力を高める
建設業は他の産業と比べて
金額規模が大きく
受注~工事完成~入金までの
サイクルが長いことが特徴です。
財務分野、すなわち資金コントロールが
難しい業種です。
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そのため特殊な会計処理を行うことがあり
担当者は精通していなくてはなりません。
会社に万が一のことがあれば
公共工事がストップしてしまうかもしれない。
その悪影響は民間工事よりも
ずっとずっと大きくなることでしょう。
建設業経理士の存在が加点要素になっているのは
「大きな工事をする会社として会計力を上げておいてね」
という意味なのです。
試験を実施する団体はこのように説明しています。
建設業者が健全な発展を図るうえで、適正な経理と計数を行うことは必要不可欠である一方、建設業は受注産業であり会計処理に特殊な点が多いことから、財務・経理の担当者は高い専門性が求められます。その建設業経理に関する知識の向上を図ることを目的としています。中でも1級、2級合格者は、公共工事の入札可否の判断の資料となる経営事項審査の評価対象の1つになっています。
建設業経理士の試験の内容とは
1級は科目合格制の試験
最大の特徴と言えるかもしれません。
2級以下には個別科目はないことを考えると
より専門性が高くなっているということですね。
科目合格の有効期限は5年ありますから
その期間内に3科目そろえば
「1級合格」となります。
働きながら勉強している方が大半なので
こうした制度になっているのかもしれませんね。
なお5年の期限を過ぎてしまうと
また再度受験し合格しなくてなりません。
建設業経理士1級の概要
受験資格:特になし
受験料 :1科目8,120円、2科目同時11,420円、3科目同時14,720円
※事務手数料320円が含む(いずれも税込)
申込方法:インターネット申込・書面申込
申込方法:建設業振興基金サイト 又は 申込書を郵送請求か窓口で入手
申込締切:上期6月中旬、下期12月中旬
試験日 :上期9月中旬、下期3月中旬
試験時間:各科目90分
試験科目:財務諸表、財務分析、原価計算(科目合格制)
使用道具:鉛筆・シャープペン、電卓(機種に制限あり)又はそろばん
合格点 :70%以上
合格率 :財務諸表23.8%、財務分析27.7%、原価計算21.1%(直近5回平均)
ニッチな試験!受験者は多くて1科目あたり2,000人弱
資格の難易度でみると
同じ2級同士の比較なら
日商簿記の2級よりも
難しいと言われています。
日商簿記にはない
建設業会計があるからですね。
建設業経理士1級だと
「財務分析」まで加わります。
当然しっかりした対策は必要です。
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一方で試験としての規模感は全く異なります。
・日商簿記の2級受験者は4万~6万人規模
(日商簿記の1級受験者は9千人~1万人規模)
・建設業経理士の1級では1600~2000人/科目
合格者も科目当たり250~500人ほど。
3科目そろえた最終合格者には
確かに希少価値があります。
会計知識としては日商簿記2級を
ベースにすれば十分かと思います。
ここから原価計算、財務分析を
積み上げていくイメージです。
建設業経理士なら1級を目指そう!
目指すべきは1級合格です。
2級でも経営審査の点数にはなりますが
1級の方が大きい。
ただし売上規模ごとに上限値があります。
社内に大勢いればいいというものでもない。
社内でのポジションを考えると
責任ある立場なら1級以外は考えられません。
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もし何も会計系の資格をお持ちでないなら
(⇒建設業経理士2級)⇒建設業経理士1級
という流れになるでしょう。
こちらの記事も参考にして下さい。
>> 簿記3級に合格して数字に強くなる!初めての会計資格の攻略法

>> 簿記2級に合格して未来を選ぼう!会計系の仕事で活躍するための攻略法

建設業経理士1級合格のための勉強法
先述したように
日商簿記2級を基盤に知識を追加すれば
1級に挑戦できるイメージを持っています。
しかし日商簿記1級を合格してからの
挑戦を推奨しているスクールもあります。
だから難易度はかなり高いと考えて下さい。
※私自身は日商簿記1級の方が難しい印象があります。
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勉強を進めていて、ある程度力がついたら
腕試し程度に建設業経理士2級に挑戦するのもアリです。
しかし過去問を数年分解いてみて
安定して高得点が出ないなら
当然合格は難しいでしょう。
1級の分野の速習講座という位置付けで
2級に挑戦することをお勧めします。
※ただし1級と2級は同日受験はできません
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日商簿記2級の知識が十分残っていれば
「財務諸表」から始めるのが
戦いやすいかもしれません。
私は3科目とも同時進行で
同じやり方をしましたが
途中2級の腕試しをする予定なら
「財務諸表」+「原価計算」
を先行するとよいでしょう。
②過去問を繰り返して総仕上げ
私はこの「2ステップ法」ばかりです。
ちなみに・・
建設業経理士2級の合格率は40%ほど。
過去5回では30%~60%と
かなりバラつきがあります。
私は過去問を解いているうちに
90%以上コンスタントに取れるようになり
比較的短期間(1~2カ月)の勉強時間で合格しました。
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しかし1級にはしばらく歯が立たず。
まったくレベルが違いました。
2回受験して科目合格ゼロという結果に。
本気で取り組んだ3回目の受験で
3科目を同時合格することができました。
やはり真剣に取り組む覚悟は必要です。
1級合格のためのテキスト・問題集
おすすめは専門学校で定評のあるところ。
説明の良し悪しというか相性があるので
実物を見て決めるべきです。
これは日商簿記と変わりません。
インプット期はとにかく定着を
情報量が多くて難しすぎるテキストでは
挫折しやすくなります。
参考書はとにかくわかりやすく
問題集はその分、解説が詳しいものがよいと思います。
まずは参考書+問題集で知識を定着させましょう。
本試験ではどの科目も第1問は記述式です。
(200字~300字程度が計2題)
会計用語を問う問題もあります。
(ただし記号選択方式です)
財務分析では主要な分析方法(比率)の
算出方法を把握していなければなりません。
(丸暗記必須です。専用ノートを作成しました)
もちろん計算問題だって十分なボリュームがあります。
こう考えると情報量が多い試験ですね。
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私はこの試験でも
TAC出版のテキストを選択しました。
>> スッキリわかる 建設業経理士1級 財務諸表 第3版
>> スッキリわかる 建設業経理士1級 財務分析 第3版
>> スッキリわかる 建設業経理士1級 原価計算 第3版
「スッキリわかるシリーズ」が見やすかったですね。
知識定着用の問題集としては
「スッキリとける問題集」を活用しました。
ここでは満点を目指す勉強法は不要だと思います。
だいたい把握している程度になったら次のステップも始めましょう。
>> スッキリとける問題集 建設業経理士1級 財務諸表 第3版
>> スッキリとける問題集 建設業経理士1級 財務分析 第3版
>> スッキリとける問題集 建設業経理士1級 原価計算 第3版
直前期はアウトプット中心で
次の段階は本番直前です。
先ほどの参考書+問題集の進み方にもよりますが
1~2カ月前には過去問に挑戦しないと
時間的に厳しいでしょう。
私は本番前に過去問およそ10年分を
2~3回転ほど解いていました。
過去問の解説もテキストと同じように考えて
よく読み込みましょう。
そのまま記述式対策にもなります。
解き直しは自己採点の難しい記述式以外は
満点になるまできっちり取り組みます。
インプット期が多少不十分でも
このプロセスで大きく精度が上がります。
合格に必要な情報量は十分に確保できるのです。
>> 合格するための過去問題集 建設業経理士1級 財務諸表 第4版
>> 合格するための過去問題集 建設業経理士1級 財務分析 第4版
>> 合格するための過去問題集 建設業経理士1級 原価計算 第4版
1級合格までの学習時間
前提とする位置が建設業経理士2級だとしたら
「6~12月ほど(働いている場合)」
という例示を見つけました。
私の場合は結局1年半ほどかかっています。
途中手をつけなかった時期もあり
長期化しました。
仕事しながらでは
スケジュール管理が難しいですね。
※言い訳ともいう
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ただし科目合格制度ですから
勉強がある程度進んでいるなら
遠慮せずに同時合格を狙うべきだと思います。
マイナー資格ですが
建設業に関わる仕事なら
取り組むだけの価値はあります。
日常勤務と並行しながら
うまくペース配分を作ることを考えましょう。
5年以内という目標を上げる人もいますから
コツコツ積み重ねましょう。