大誤解!簿記を学んでも経理で働いても決算書は読めるようにならない!

大誤解!簿記を学んでも経理で働いても決算書は読めるようにならない!仕事と会計資格

大誤解!簿記を学んでも経理で働いても決算書は読めるようにならない!

会計系の資格は、社会人にとっては
一般教養として認識されている気がします。

簿記を学べば決算書が読める?
いいえ。それは簿記を学んでいない人の幻想です。

経理に所属すれば決算書がわかる?
これも明らかな誤解ですね。

それでも会計資格は取った方がいいの?
この記事ではその疑問にも答えます。

 

簿記を学べば決算書が読めるようになるか?

決算書は簿記の知識を総動員して作成されます。

経費には様々な科目が用意されているので
その科目の意味を知っておくことには意味があります。

でも日本語表記ですから
たいていは内容の想像がつくものばかり。

いくつか馴染みがない科目があれば
それを理解すればいいだけです。

旅費交通費はわかりますよね。
法定福利費とか減価償却費とかかな・・?

実は会社ごとに違いがあります。
科目名に縛りがあるわけではないからです。

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最終的な集計表である決算書には

・1年間の成績表に相当する「損益計算書」
・決算日における財産リストに相当する「貸借対照表」

などの資料が含まれます。

損益計算書に記載されている売上や利益を見れば
会社が儲かっているか判断できます。

貸借対照表をみれば資金や借金の額もわかります。

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ただこれだけで
「決算書を読める」と表現してよいものか・・。

多くの経営分析はメインとなるこの2つの資料の
数字をもとに計算した比率を使って行います。

私はこの経営分析まで行って
ようやく判断ができると考えていますが

「簿記」の範囲からは
明らかに超えたところにあります。

 

経理の実務担当者は決算書が読めるでしょ?

経理の実務担当者は決算書が読めるでしょ?

まず誤解を解いておきたいと思うのですが
経理の仕事を何年もしていても
決算書を読めない人はたくさんいます。

その理由は同形式のデータを大量処理するのが
一般の経理スタッフの仕事だからです。

経理スタッフでも決算書を見ていない

決算書は機密情報であり
目にすることができるのは少数でしょう。

大半のスタッフには
見る権限も時間もありません。

お金が動けば、まず1つ1つに
決済の実務処理があります。

加えて、これらの取引を
記録することになりますが

この段階で終わってしまうことが大半です。

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税務上も記録(記帳)は必須であり
それさえできていれば十分。

規模が大きいほど分業体制をとることが多く
全体像をみることすら困難になります。

経理スタッフの実態とは

経理スタッフは様々な取引をデータ処理しますが
そのバリエーションは乏しいものです。

例えば売上のデータを処理するには
・いつ(販売日、注文日)
・誰が(お客様の名称)
・何を(商品名、サービス名)
・どのくらい(数量、時間など)
・いくらで(金額)

このようなデータを取り扱いますが
次のような仕訳で処理されます。

◇月◇日 売掛金/売上 ○○円 「××」

実際には1日分の合計でも、個別に商品ごとでも
週や月の合計でも構いません。
でもパターンは一緒です。

簿記の知識らしいところは勘定科目ですが
この部分は基本的に変わりません。

※ただし合計を使うなら
その内容がわかるようにしておく必要あり

1日分を1仕訳で表現するとしても
そこに至るまでは多数の集計が必要です。

商品が多数あり、レジが多数あり、店舗がある。
だから大きなお店では
ポスレジなどで集計を自動化するわけです。

コンビニやスーパーを想像してみて下さい。
まとめなきゃ無理ですよね。

他にも請求書の発行だったり入金確認だったり
周辺業務もあります。

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経費の場合には適切な勘定科目を使う
必要がありますが
それでも事情は大きく変わりません。

仕入れの代金を支払い
給与を支払い
雑多な経費を支払い
交通費などの精算を
日常業務としていても・・

記録としては
「何に支払うのか」という部分が
勘定科目や摘要として表現されるだけ。

大半の時間は仕訳を作成するまでに行う
実務処理や集計作業などに費やされます。

見ることができるのは管理職のみ

全体像を見ることができるのは
こうして処理したデータを確認しつつ
取りまとめる権限を持つ者だけです。

つまり管理職ということになりますね。

会計上の集計の後のステップとして
決算や税務申告に移る必要があります。

その意味でも把握しなければならないのです。

税理士に委任しても情報開示がなければ
正しく作成することはできませんから

結局はある程度の専門知識は欠かせません。

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ちなみに経営者自身は
この積み重ねた部分を飛ばして
最後の結論だけ見ています。

詳細まで承知しているわけではありません。

センスがある方、勉強されている方は
ご自分で分析されるケースもありますが

大事に金庫にしまって終了という方も
多いと思いますよ。

 

会計資格は取った方がいい?

会計資格は取った方がいい?

履歴書に書けるのは
日商簿記3級レベルからだと思います。

日商簿記で目指すもの

この試験で何を目指しているかといえば

基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。
(出典:商工会議所の検定試験 簿記3級

2級になると工業簿記の知識が加わります。
原価計算と呼ばれる製品コストを算出する内容も含まれます。

高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
(出典:商工会議所の検定試験 簿記2級

つまりこれらの試験を通じて、処理すべき実務が
適正に扱えるかということを見ているわけです。

ちなみに1級になると

極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。(出典:商工会議所の検定試験 簿記1級

税理士試験の会計科目よりも広範囲な試験となります。
ここまでくると専門職を目指さない方がもったいないかも。

決算書を読み取るだけなら3級でも可能

公表されている3級のサンプル問題によれば
大問で5問ありました。

全体配点の6割を占めるのは
残高試算表、決算書などの集計問題です。

あとの4割はやや特殊な仕訳や
帳簿記録を問うものでした。

結局のところ、小規模な会社の1年間の取引を
まとめ上げることができるかということを
見ているのですね。

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会社が存続するためには
利益を出し続ける必要があります。

売上が十分なくては利益が残りませんし
経費のバランスも重要です。

最終的な決算書に表現されている情報を
読み取る目を養うには
3級の試験は有効でしょう。

責任ある立場を目指すなら2級は必須

ただし経営上の判断にはそれでも情報不足です。

前期との比較だったり、経営分析指標を活用するには
独自のアウトプットが欠かせません。

実際、税理士さんが経営者に説明する際には
こうした資料を別途作成しているのです。

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経理の仕事で責任ある立場を目指すなら
製品コストを考える2級の知識はあった方がいいでしょう。

単純な集計要員のままで構わないなら
経理志望者でも特に取得は必要ないことになります。

ただし、こうした単純集計はどんどん
機械(AI)に置き換わっていく見込みです。

AIが集計した資料を読み解く力がなければ
将来的に仕事を奪われていく可能性があります。

 

簿記は勉強した方がいい?

「簿記(特に複式簿記)」の知識体系は
偉大な発明です。

「仕訳」という単純なデータを積み重ねることで
・記録面としても(帳簿)
・全体像としても(試算表・決算書)
矛盾なくまとめることができます。

仕組みの素晴らしさには驚くばかりで
コンピューターのない時代から
正確な処理を支えてきました。

緻密な思考を鍛えるなら
よい訓練になると思いますよ。

 

会計系の資格を目指すなら

ちなみに初めて会計系の資格を学ぶなら
独学はおすすめしません。

簿記3級は決して難しい試験ではなく
独力でも合格は十分可能です。

それでも基礎は
しっかり学んだ方がいい。

一番大事なことは
考え方を身に付けることです。

合格は単なる通過点だと思って下さい。

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要は枝葉ではなく幹の部分は
じっくり理解した方がいいということです。

学習期間は集中できれば1カ月くらい。
通信講座では3カ月ほどを想定しているようです。

あとは問題練習を繰り返せば
合格ラインまで手が届きますよ。

【スクールを検討するなら】

資格取るならまずはスクールの検討は必須です。
パンフをみれば、資格の取り方だけでなく
その後どうなるのかも見えてきます。

実績を売りにするスクールは
テキストの品質や講師陣とかの優位性を反映しているはず。

高い合格実績で選ぶなら資格の大原 簿記3級講座
高い合格実績で選ぶなら資格の大原 簿記1・2級講座

【通信講座を検討するなら】

コロナ禍もあって
最近は通信教育が充実しているようです。

私が取得したときはスクールばかりでした。
スクールでは通信講座も開講していることが多いですが
今じゃこんなサービスも。

>> 様々な資格学習が980円でウケホーダイ!【オンスク.JP】

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